大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)5816号 判決

職業安定法にいわゆる「職業紹介」とは、求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつ旋することをいう(同法第五条第一項)のであつて、右の要件に該当する限り、求人者又は求職者との間に特別の知合関係があるかどうか、また、そのあつ旋の報酬を得たかどうかというようなことは問うところではないと解しなければならない。

そして、原判決の挙示する証拠を綜合すると、被告人の原判示第一の各所為が右にいう「職業紹介」にあたること明らかであるし、また、右証拠によると、被告人が右の職業紹介を行つたのは、売淫すなわち公衆道徳上有害な業務に就かせる目的のものであることを知りながらこれをしたものであることを十分認めることができるのであつて、その他一件記録を精査検討してみても原判決のこの部分に事実誤認があるとは考えられないから、論旨は理由がない。

同第二点について。

職業安定法第三十二条及び第六十四条第一号にいわゆる「職業紹介事業」とは、反覆継続の意思をもつて職業紹介を行うことをいうのであつて、必ずしも未知の者を相手としなければならないというものではない。知合の者を対象とする職業紹介であつても、反覆継続の意思をもつてする以上は職業紹介事業というに妨げないのである。ところで、本件についてこれをみると、原判決の挙示する証拠によれば、被告人が原判示第二の各職業紹介を反覆継続の意思で行つたことを優に認定するに足り、記録を精査検討しても右の認定を疑うべきものあるを認められない。しからば原判決がこれを、「職業紹介事業をなし」たものと判示したのは正当であつて、この点に関する所論は採用の限りでないし(論旨引用の大阪高等裁判所の判決は、反覆継続の意思の認められない場合に関するもので、本判決の見解となんら反するものではない。)また、原判示第一の所為に適用された職業安定法第六十三条第二号は、職業紹介を事業として行つたことを要件としているものではないから、論旨中その所為が業としてなされたものでないことを主張する部分はすでにその点において失当たるを免れない。

これを要するに論旨は理由なきものである。

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